「竜宮電車」

竜宮電車 (徳間文庫)堀川アサコ  竜宮電車。  なんてファンタジーの香り漂う素敵な響きなのでしょう。  本作は3つの話がゆるく繋がった連作短編で、タイトルから予想されるファンタジー要素はもちろんのこと、ホラー要素もあり、しかしながら最も深く描かれているのはなかなかに苦しい人間関係だったりします。  第1話の「竜宮電車」は、ある朝出勤したら会社が倒産していた青年の話。  作者の堀川さんは実際にこういう体験をしたことがあるそうです。  本作の主人公は失業を期に踏んだり蹴ったりな状況に陥ってしまいます。  失業が原因ではないにせよ、それがきっ…

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「おちゃっぴい 大江戸八百八」

おちゃっぴい 大江戸八百八(講談社文庫)堀川アサコ  ホラー風味の時代ミステリ連作短編です。  タイトルの「おちゃっぴい」は、女だてらに剣術道場の師範代を務める巴を指していますが、それほど主人公らしい活躍をするわけでもなく、実際の物語は巴の幼馴染である青治を中心に動いていきます。  なので、若干肩透かし気味と言うか何と言うか。あれ? おちゃっぴいどこ? みたいな。  いや、内容は面白かったんです。  生きミイラの噂を追いかけて辿り着いた真相は……「怪人」  跡取りとして養子に迎えられた少年が次郎と名づけられた理由とは……「太郎塚」  江戸時代の口…

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「三人の大叔母と幽霊屋敷」

三人の大叔母と幽霊屋敷(文春文庫)堀川アサコ  予言村シリーズの3作目。  今回は3つのお話からなる連作短編集となっています。  1作目では本当に存在するのかすら怪しい感じだった予言暦。  こよみ村で起こる未来の出来事が記されているという予言暦(主人公・奈央の父親が村長になることも記されていたという)の存在が、ついに公のものになってしまいました。  しかも、予言暦に深く関わっていた人の家族が、村長さんに預けましたーと公衆の面前で言っちゃったものだからさあ大変。  未来を知りたい村民たちが奈央の家に押しかけてくる事態に。  押しかけてきたのは数名だ…

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「幻想温泉郷」

幻想温泉郷 (講談社文庫)堀川アサコ  幻想シリーズの5作目です。  これまでは1作ごとに主人公が変わっていたのですが、今回はシリーズ第1作「幻想郵便局」の安倍アズサちゃんが再び主人公として登場。  1作目では履歴書の特技欄に「探し物」と書いたことがきっかけで、この世とあの世の狭間に位置する不思議な郵便局で働くことになったアズサでしたが、あれから2年たった今作では東京のお菓子の商社で働くOLさんになっていました。  夏季休暇を利用して、かつての職場である登天郵便局を訪れたアズサを待ち受けていたのは、消える死者の謎。  成仏せずに消えてしまった人たちは生前、罪…

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「炎路を行く者」

炎路を行く者:守り人作品集(新潮文庫)上橋菜穂子  年明けに、間もなくドラマ「精霊の守り人」シーズン2が始まると知り、録画したまま放置していたシーズン1を慌てて観ました。  いや、なんかね、バルサ役に綾瀬はるかってのがね、華奢すぎるんじゃないかと思ったのですよ。  それで躊躇ってたんですけど。  カッコ良かったわー! アクションシーン、すごい!  槍さばきも見事だったし。敵のみぞおちにクリーンヒットしたパンチ、マジ重そうでした!  もっと早く観れば良かったと言いたいところですが、シーズン1の記憶が新鮮なうちに2を観られたので、これはこれで良かったか…

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「白ゆき姫殺人事件」

白ゆき姫殺人事件(集英社文庫)湊かなえ  湊さんの作品を読むのは「告白」以来の二作目ですが、いやぁ、読ませるわー。  月並みな言い方でお恥ずかしいけど、ぐいぐい引き込まれるように読んでしまいました。いや、ほんとそうだったんだもん。  地の文なしの独白形式でここまで読ませる筆力、凄すぎる。  まあ、地の文がないせいで台詞が多少説明的だったりもしますけど、気にならない程度。  本作はタイトルに「殺人事件」とありますが、事件を解決する話ではなく、事件を取り巻く人々を描いた作品です。  まず、被害者の会社の後輩が、雑誌のライターをしている元同級生に電話を掛けたとこ…

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「小さいおじさん」

小さいおじさん(新潮文庫nex)堀川アサコ  堀川アサコさんは最近一番好きな作家さんです。  全作読んだわけではないのですが、これまで読んだ作品はどれも何と言うかこう、芯の部分に優しさが練り込まれている感じで読後感がいいのですよね。だから安心して読める。  本作もタイトルとカバーイラストを見て絶対わたし好みだと思ったらそのとおりでした。 ※今回はネタバレ気味で書いてます。  主人公の千秋は市役所の建設課で働く19歳。  残業中、彼女が職場の給湯室で見たのが小さいおじさん。  立派な口ひげを蓄え、黒田節を謡い踊っている身長15cmほどのおじさんが見えるのは…

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「聖なる怠け者の冒険」

聖なる怠け者の冒険(朝日文庫)森見登美彦  なんということだろう。  森見作品なのに主人公が男子大学生じゃないなんて。  まあ、今までも小学生男子であったり愛すべき毛玉の狸であったり麗しき黒髪の乙女ちゃんであったりと、男子大学生以外が主人公の作品はあったわけだけれども、なんと本作の主人公は社会人なのだ。  ただし、怠け者。  平日は京都郊外の某化学企業の研究所で黙々と仕事に励むも、週末は独身寮の万年床で「苔むした地蔵のごとく」ごろごろしたがる怠け者。  しかも、本作で描かれるのはほぼ土曜日一日だけなので、主人公の小和田君が働いている姿を我々読者が知ることはない。だ…

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