「まるまるの毬」

まるまるの毬 (講談社文庫)西條奈加  皆さん、こんにちは。和菓子大好きワガシスキーです。  和菓子屋さんが舞台という、ただそれだけの理由で本書に食いつきました。  タイトルは「まるまるのまり」ではなく「まるまるのいが」と読むそうです。「毬」という字は「いが」とも読むんですね。知らなかった。  さて、本作の舞台は江戸の麹町。  ここに南星屋という和菓子店を構えている主人の治兵衛、その娘のお永と孫娘のお君、そして治兵衛の弟で僧侶の石海が主な登場人物です。  還暦を迎えた治兵衛は元は旗本の次男坊。10歳のときに菓子職人を志して家を出、長じてから…

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「陰日向に咲く」

陰日向に咲く (幻冬舎文庫)劇団ひとり  本書が刊行されたのは2006年。当時、書店で最初の数ページを立ち読みして、これは面白そうだと思った記憶がある。  芸能人の書いた小説に興味はなかったけれど、面白い・出来が良いという評判を目にしたから手に取ったのだと思う。  しかしながら文庫派である私、文庫になったら読もうと思い、ドングリを地中に埋めたリスのごとくそのまま忘れてしまった。  それから干支が一巡して、ようやく読んだ。  もっと早く読めば良かった。  日々の仕事に疲れ果て、たまたま電車に乗り合わせたホームレスに希望の光を見出してしまった会社員。  売れ…

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「家守綺譚」

家守綺譚 (新潮文庫)梨木香歩  先日、続編の「冬虫夏草」を読んだのを機に約10年ぶりに再読しました。  「冬虫夏草」を読んでいるときは意外と憶えているような気がしていましたが、いやいやいや、8割がた忘れていました。おかげで、かなり新鮮な気持ちで楽しむことができたのはラッキーだったかもしれません。  時は明治。  文士・綿貫征四郎は、亡くなった学生時代の友人、高堂の家の管理を任されることになり、そこで様々な不思議に出会います。  庭木のサルスベリに懸想され、  河童の衣や河童そのものを拾い、  信心深い狸を助け、  掛け軸を抜け出したサギは庭の池の魚を…

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「冬虫夏草」

冬虫夏草 (新潮文庫)梨木香歩  久しぶりの梨木香歩さん。  名作「家守綺譚」の続編です。が、はて「家守綺譚」を読んだのはいつだったかのぅ……とブログ内を検索してみたところ、なんと2008年5月。ほぼ10年前でした。  独特の雰囲気があって凄く面白かったことしか覚えていないのも、これでは仕方ないか。  前作を再読してから本書を読むべきかとも思ったのですが、最近本当に自分でも嫌になるくらい読むスピードが遅く、読み返していてはいつこちらに取り掛かれるか分かったものではないのでそのまま読み始めたところ、これが意外と思い出す!  ダァリヤ、長虫屋、隣のおかみさん……それぞれ…

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「竜宮電車 水中少女」

竜宮電車 : 水中少女(徳間文庫)堀川アサコ  本作は「竜宮電車」の続編。  2編が収められていますが、量的にはタイトルの「水中少女」が5分の4くらいを占めています。  主人公は前作にも登場した全然流行らない神社の神様、神仁(じんひとし)。通称ジンジン。  相変わらず人に紛れてバイトをして、自らの食い扶持を稼ぐ日々を送っているジンジンの前にひとりの青年が現れて言いました。 「ご利益をぼくに売ってください」  そして目の前に積まれた札束、一千万円。  人の入れるはずのない神域に入り込み、人に見えるはずのない神の姿を見る青年に警戒心を…

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「荒神」

荒神 (新潮文庫)宮部みゆき  徳川綱吉の治世。  陸奥の南方で反目しあうふたつの藩。  物語は香山藩と、その隣の永津野藩を行き来しつつ進んでいきます。  香山藩仁谷村の少年・蓑吉が夜の山道を駆けているところから始まるのですが、これが地味に怖い。  夜中に起こされ、走って逃げろと言われた蓑吉。  家の外からは悲鳴が聞こえてくる。  とにかく言われるままに逃げたけれど、何が起こっているのかはわからない。  読者も蓑吉と同じ立場で暗い山道を走らされるのです。やめてこわい。  そして、途中で逃げてきた村人に出会うのですが、その人も「あんなも…

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「開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―」

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―(ハヤカワ文庫 JA ミ 6-4)皆川博子  18世紀のロンドン。  外科医が内科医より一段低く見られていた時代。  解剖学は最先端の学問ながら世間からの理解は得られず、私的解剖教室を開いている外科医ダニエルは「もっと屍体を」と嘆く日々。  タイトルの「開かせていただき光栄です(dilated to meet you)」は「お目にかかれて光栄です(delighted to meet you)」をもじった言葉。  カバーイラストはなかなかグロい雰囲気が漂っているものの、そんな洒落っ気のあるタイト…

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「禁断の魔術」

禁断の魔術 (文春文庫)東野圭吾  ガリレオ・シリーズの長編です。  このシリーズ自体は大好きなんですが、正直、長編はいまいちと言うか「それって現実的にはどうなんだろう~?」と引っかかる部分が必ずと言っていいほどあって、短編ほどには楽しめない印象です。  物理学に詳しい人が読んだら、短編のトリックも「ねーよwww」なのかもしれませんが、私は単純に「へー! そうなんだー!」などと感心しつつ読んじゃう。  それが、長編だと何だか引っかかるんですよね。素人にも理解しやすいトリックだからかな。  なので、本作も恐る恐る(笑)読み始めたのですが、今までの長編とは違…

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