「幻想温泉郷」

幻想温泉郷 (講談社文庫)堀川アサコ  幻想シリーズの5作目です。  これまでは1作ごとに主人公が変わっていたのですが、今回はシリーズ第1作「幻想郵便局」の安倍アズサちゃんが再び主人公として登場。  1作目では履歴書の特技欄に「探し物」と書いたことがきっかけで、この世とあの世の狭間に位置する不思議な郵便局で働くことになったアズサでしたが、あれから2年たった今作では東京のお菓子の商社で働くOLさんになっていました。  夏季休暇を利用して、かつての職場である登天郵便局を訪れたアズサを待ち受けていたのは、消える死者の謎。  成仏せずに消えてしまった人たちは生前、罪を洗い流す温泉を訪れていたという手がかりを元に、その温泉がどこにあるのかを探し出すことになっちゃった…

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「炎路を行く者」

炎路を行く者:守り人作品集(新潮文庫)上橋菜穂子  年明けに、間もなくドラマ「精霊の守り人」シーズン2が始まると知り、録画したまま放置していたシーズン1を慌てて観ました。  いや、なんかね、バルサ役に綾瀬はるかってのがね、華奢すぎるんじゃないかと思ったのですよ。  それで躊躇ってたんですけど。  カッコ良かったわー! アクションシーン、すごい!  槍さばきも見事だったし。敵のみぞおちにクリーンヒットしたパンチ、マジ重そうでした!  もっと早く観れば良かったと言いたいところですが、シーズン1の記憶が新鮮なうちに2を観られたので、これはこれで良かったかなとw  本書も、シーズン2にはヒュウゴが出るということで慌てて買いました。  実はあん…

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「白ゆき姫殺人事件」

白ゆき姫殺人事件(集英社文庫)湊かなえ  湊さんの作品を読むのは「告白」以来の二作目ですが、いやぁ、読ませるわー。  月並みな言い方でお恥ずかしいけど、ぐいぐい引き込まれるように読んでしまいました。いや、ほんとそうだったんだもん。  地の文なしの独白形式でここまで読ませる筆力、凄すぎる。  まあ、地の文がないせいで台詞が多少説明的だったりもしますけど、気にならない程度。  本作はタイトルに「殺人事件」とありますが、事件を解決する話ではなく、事件を取り巻く人々を描いた作品です。  まず、被害者の会社の後輩が、雑誌のライターをしている元同級生に電話を掛けたところから物語は始まるのですが、これが会話ではなく後輩の独白形式。  その後も同僚、同級生、地元住民な…

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「小さいおじさん」

小さいおじさん(新潮文庫nex)堀川アサコ  堀川アサコさんは最近一番好きな作家さんです。  全作読んだわけではないのですが、これまで読んだ作品はどれも何と言うかこう、芯の部分に優しさが練り込まれている感じで読後感がいいのですよね。だから安心して読める。  本作もタイトルとカバーイラストを見て絶対わたし好みだと思ったらそのとおりでした。 ※今回はネタバレ気味で書いてます。  主人公の千秋は市役所の建設課で働く19歳。  残業中、彼女が職場の給湯室で見たのが小さいおじさん。  立派な口ひげを蓄え、黒田節を謡い踊っている身長15cmほどのおじさんが見えるのは、孤独な人だけだそうです。  千秋には家族がいるし友達もいるし愛猫(キジトラ)のレオナルド…

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「聖なる怠け者の冒険」

聖なる怠け者の冒険(朝日文庫)森見登美彦  なんということだろう。  森見作品なのに主人公が男子大学生じゃないなんて。  まあ、今までも小学生男子であったり愛すべき毛玉の狸であったり麗しき黒髪の乙女ちゃんであったりと、男子大学生以外が主人公の作品はあったわけだけれども、なんと本作の主人公は社会人なのだ。  ただし、怠け者。  平日は京都郊外の某化学企業の研究所で黙々と仕事に励むも、週末は独身寮の万年床で「苔むした地蔵のごとく」ごろごろしたがる怠け者。  しかも、本作で描かれるのはほぼ土曜日一日だけなので、主人公の小和田君が働いている姿を我々読者が知ることはない。だから、たとえ彼が平日どれだけバリバリ働いていたとしても、読者にとって主人公はただの、いや、筋金入りの…

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「天空の蜂」

天空の蜂 (講談社文庫)東野圭吾  最近の沖縄旅行の楽しみのひとつに、ホテルで映画を見るというのがあります(笑)  今年も何本か見たのですが、その中の一本が「天空の蜂」。  とても面白かったので、原作を読んでみることにしました。  自衛隊に納入される予定の巨大ヘリコプターが「天空の蜂」を名乗るテロリストによって遠隔操作で強奪され、日本中の原発を破壊せよという要求が突きつけられる。さもなくばヘリを高速増殖炉に墜落させるぞ、と。  そこから始まる600頁超の分厚い本ですが、描かれているのは僅か半日に満たない時間の出来事です。  まず驚いたのは、映画は昨年公開でしたが、原作は1995年に出版されていたということ。20年以上前です。この時点で原発とテロが題材です…

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「大奥の座敷童子」

大奥の座敷童子(講談社文庫)堀川アサコ  大奥、そこはどろどろの愛憎渦巻く女の園。  ……というのは、もしかしたら大昔のドラマが作り上げたイメージにすぎなかったのかも?  そんな疑問を感じるくらい、本書の大奥は別空間。  何しろ、作品の冒頭で主人公イチゴに課せられた使命は、藩の財政危機を救うために江戸城大奥にいるはずの座敷童子を探し出すことなのですから。  もうこの初期設定だけで、私の知ってる(いや知らないけど)大奥とは違う予感がぷんぷんしましたw  ただ、この辺は設定も上手くて、将軍に正室がおらず側室もひとりだけという、あんまり愛憎は渦巻かない感じにはなっているんですね。全然渦巻かないわけでもないんですが。  物語の前半は概ね「イチゴのエンジ…

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