「白銀の墟 玄の月(二)十二国記」 小野不由美

 まず初めに。
 今回はネタバレ気味の感想になっております。
 直接的な文言は出来る限り避けましたが、未読の方はくれぐれもご注意ください。と言うか読まないほうがいいと思います。楽しみ奪いたくないし。

 というわけで本文。

 第一巻の終盤で李斎と別行動を取ることにした泰麒。
 この第二巻では、敵の本丸と化している白圭宮に真正面から乗り込んだ泰麒と、泰麒に置いてけぼりをくった形の李斎、それぞれの行動を追っていくことになります。

 項梁ひとりを供に、策をもって身の安全を図りつつ白圭宮に戻った泰麒。目的は偽王の阿選に会うことでしたが、思ったように事は運ばず、軟禁状態となってしまっています。
 性情は仁と言われる麒麟に策略は似合わないなぁと思う一方、頼もしくも感じました。
 冷徹とも言える態度にかつてのおどおどした子どもの影はなく、泰麒を猫かわいがりしていた李斎あたりは淋しく感じるでしょうが、私は今のほうが好きです。ただ、この変化には失われた6年間が間違いなく影響しているので複雑ではありますが。

 さて、ようやく会えた阿選の側にいたのは琅燦。
 琅燦は多くの人が泰麒を子ども扱いする戴の中にあって、泰麒を正当に評価している数少ない人物だったので私は好きだったし、彼女の登場は泰麒にとってラッキーだと思ったのですが……どうも立ち位置が微妙。
 阿選に重用されているっぽいけれど、その阿選のことは「あんた」呼ばわりだし。本来の王である驍宗のことは「驍宗様」だし。
 誰の味方なのか、誰の味方でもないのか。

 非常に博識で、天の行動原理にも詳しいようで……読んでいて、ふと琅燦黒幕説を思いついてしまいました。
 つまり、琅燦が阿選に謀反を唆したと。
 動機は……私利私欲というのはちょっと考えられないので知的好奇心(たとえば天の行動原理を解析したいとか)を満たすため、かな。などと妄想が捗る捗るw
 いずれにせよ、有能なサブキャラだと思っていた琅燦が物語の鍵を握っているかもしれないポジションに来たのは意外でした。

 更に、泰麒たちの周囲に迫る不穏な気配も気になるところ。
 今のところ読者だけが気づいているこの気配、軟禁状態の閉塞感と相俟ってとてもイヤな感じです。その昔、「屍鬼」を読んでいたときに感じたのと同じ息苦しさを覚えました。
 私はあの雰囲気が本当に苦手だったので、本作では早いところ誰かに気づいてもらってさっさと対処してほしいなと切に願います。項梁、頼む! 耶利でもいいぞ!

 一方の李斎は手助けしてくれる人を少しずつ増やしながら驍宗の行方を捜しますが、見えてくるのは相変わらず戴の厳しい現実ばかり。
 何しろ驍宗が行方不明になったのは既に6年も前の話だし、李斎は阿選によって驍宗殺しの主犯として手配されている身だし、これはもう手詰まりなのではと読みながら感じていた終盤にまさかの展開!

 いやー、なんかねー、この巻のカバーイラストは驍宗なんですけど、全四巻のうち驍宗だけ背中を向けているのが何か引っかかってはいたのですよ。
 俄かには信じがたいけど、泰麒の不可解な言動と一致してしまうのが何とも。
 でも、白雉は落ちていないと琅燦は行っていたしなぁ。

 俄かには信じがたいと思っているのは李斎たちも一緒。この先、彼女たちはどういう行動を取るのでしょうか。
 驍宗(とされる人)の身近にいたという少年の動向も気になるところです。

 というわけで、急いで続きを読みます。
 読むのが遅くて(三、四巻が既に発売になってて)良かったw こんな状況で発売を待つとかきついわ。

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