「白銀の墟 玄の月(一)十二国記」 小野不由美

 十二国記、18年ぶりの書下ろし新作は戴国のお話です。
 カバーイラストは戴の麒麟、泰麒。

 戴は本当に不遇な国で、もともと北国なので冬の寒さが厳しい上、前の王が国を荒らして疲弊しきっていました。
 やっと新しい王が即位したものの、わずか半年で王も、王を補佐する麒麟も消息不明になるという不幸に見舞われてしまいます。
 それから6年。
 ようやく泰麒が戴に戻りました。

 実を言うと私、戴はあまり好きじゃないんですよね。戴と言うか、戴の人たちが。
 大人たちは、幼いとは言え国の要である泰麒を可愛がりすぎるがゆえに蚊帳の外に置いてしまうし、泰麒は泰麒で子ども扱いされるのを、自分が足を引っ張っていると感じてヘコむし。
 噛み合わない思いやりに読んでいてイラッとすることが多くて。

 それでもやはり、王が消えた事件には謎が多く、真相が気になるわけでして。
 ようやく続きが読めると思うと、わくわくが止まりません。

 が。

 始まった物語がですね、やはり戴なので。
 貧しいのです。荒れ放題に荒れているのです。この冬をどれだけの人が乗り切れるか……くらいに疲弊している様をこれでもかと見せつけられて、初っ端から読むのがつらいことつらいこと。

 本作は全四巻なので、この第一巻は起承転結の「起」。
 ゆえに、物語がこの先どう展開していくかまったくわからない状態ではありますが、市井の人々の困窮がどうかこれ以上ひどいことになりませんようにと願わずにはいられません。

 それにしても、この世界観のブレなさは凄いですね。とても18年も間があったとは思えない。
 小野先生の中には本当に十二国が存在しているのだなぁと、これは「丕緒の鳥」を読んだときにも思ったのですが、改めて感じました。

 では、続いて二巻に取り掛かります。
 この先どうなるのか、楽しみであり不安であり。一巻にちらりと出てきた人物は誰なのか。順当に考えれば二巻のカバーイラストの人だろうけど……

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