「なぜこう見える? どうしてそう見える? <錯視> だまされる脳」 新井仁之

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ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏ーナワ夏
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 右に左に傾いて見えるこれは「文字列傾斜錯視」というものだそうです。
 ネットで見たことのある方も多いのではないでしょうか。私も初めて見たのはたぶん匿名掲示板の書き込みだったと思います。
 なので、作者不詳だと思っていたのですが、実は本書の著者である新井仁之先生の作なのだそうです。

 「錯視の歴史」、「錯視の技」、「錯視と科学」の大きく3つの章からなる本書は「こどもくらぶ編」ということで、平易な言葉で書かれており、写真や図もふんだんに使われているので大変わかりやすいものとなっています。

 錯視の歴史の章でまず初めに取り上げられているのはパルテノン神殿と法隆寺の柱。エンタシスの柱って授業で習ったなあ。懐かしい。
 下から見上げた時に安定感があるようにと上のほうを細くした柱、なるほどこれも錯視なのですね。

 錯視はトリックアートなどとして楽しむ以外にも、私たちの身近なところにも取り入れられています。
 例えば、道幅を狭く見せかけて車のスピードダウンを促すイメージハンプ。
 ミカンが赤いネットに入っているのは、より色鮮やかに美味しそうに見せるため。
 痩せて見える服の着こなしなんかも錯覚を利用したものですから錯視です(手首や足首などの細い部分を出したほうが全体的に細く見えるって!)
 シンデレラ城にもより高く見えるような仕掛けが施されているそうですよ。

 このように古くから存在が認知され、研究も利用もされている錯視ですが、意外にも本格的な研究というのは19世紀以降に始まったのだそうです。
 現在では主に脳科学や心理学の分野などで研究が進められていて、新井先生は数学を使っての研究をされている方です。

 冒頭で紹介した文字列傾斜錯視は「夏」の1画目の横棒、「ワ」の横棒、「ナ」の横棒、そして「ー」が右下がりに並んでいることが原因で傾いて見えると考えられているそうですが、それだけでは説明がつかない文字列傾斜錯視もあるのだとか。
 まだ完全には解明されていないのですね。

 私は以前から脳が騙される系のモノが大好きで、エッシャーのだまし絵のジグソーパズルに凝っていた時期がありますし、本書で取り上げられている錯視には見たことがあるものも多いのですが、その中でも「チェッカーシャドウ錯視」の不思議さは飛び抜けていると思います。

 「この色とその色は違うように見えるけれど本当は同じ色」の系統で、濃い灰色と薄い灰色に見えて実は同じというやつなんですが、これがどう見ても違う。
 これが同じとか有り得ないからマジで。と思う人は多いようで、「チェッカーシャドウ錯視」で検索すると、本当に同じか検証した動画などがヒットします。
 しかし、動画なんていくらでも加工できますからね。ということで、疑い深い私は動画を参考に自分で画像編集ソフトを使ってやってみたのです。
 違って見えるAの部分とBの部分を残して周囲の絵を全部消してみたところ……同じ色(濃さ)に見えるようになりました。
 色を透過させる機能で、Aの部分を指定したらBも消えましたし。
 同じ色……なのです。それでも元の絵は違う色にしか見えませんが。

 錯視は脳が騙されているというよりは、脳が気を利かせすぎていろいろ補いすぎちゃった結果なのかな、と本書を読んで感じました。
 興味のある方は新井先生のサイト「錯視の科学館」をぜひ。楽しいですよ。

4623077616なぜこう見える? どうしてそう見える? <錯視> だまされる脳
新井仁之 こどもくらぶ
ミネルヴァ書房 2016-08-20

by G-Tools

 余談ですが、いま我が家で一番ホットなのはフレイザー錯視「LIFE」です。

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