「水の柩」

 あれは何年前のことだったかなぁ。
 朝の通勤時間帯、駅へと向かう道を、本を読みながら歩いている人とすれ違ったことがありました。

 歩きスマホならぬ、歩き読書。
 しかも、手にしているのはハードカバー。片手では持てません、両手です。
 いい大人がかの勤勉な二宮尊徳像の如く、両手で持った本を読みながら歩いているのです。それは凄いインパクトでした。

 ブックカバーが掛けられていなかったので、すれ違いざまに本のタイトルを見て取ることができました。
 「水の柩」と書いてありました(短くて憶えやすいタイトルで良かった!)。

 歩きながらまで読みたくなる本ってどんなんだろう? どんだけ面白い本なんだろう?
 そう思った私は、文庫化された暁には絶対に読もうと心に決めたのでした。

 それから数年。
 先日、沖縄に持って行く本を探していたときに文庫化されているのを見つけまして。しかも電子書籍版も出ていたので購入、旅先で読みました。

 えーと、中学生男子が主人公の、青春小説という括りになるのかなぁ?
 いじめとか嘘とか、気が重くなる題材を綺麗にまとめて好印象だったけど、歩きながら読みたくなるほどではなかったかなw
 あと、読了後、アンフェアな部分があったことに気がついたので、だいぶ評価が下がりました。

 現在の様子をチラチラと見せつつ過去の出来事を展開していく方式で、それによって現在の状況がちょっとずつわかっていく感じなんですけど、その現在の場面にね、アンフェアなミスディレクションがあったことに読了後気づいちゃって。
 全部読み終わってから読み返してみると、その部分、まったく意味が通らない。

 主人公がある登場人物に投げかけた質問があって、それが、すべてが明らかになった後だと「なんでその人に訊く?」なの。
 答えられないのは承知の上と逃げは打ってるんだけど、それも全貌がわからない時点では筋が通って読めるんです。だから騙されたけど、わかった後だとまるで意味不明な行動だった。
 「実はそういう意味だったのか!」じゃなくて「は?」にしかなりませんでした。
 小説にミスディレクションがあるのは当然だけど、これは卑怯。筋が通らないのはいかんでしょ。

 というわけで、ひょんなことから出会った小説でしたが、残念ながらがっかりでしたよぅ。

この記事へのコメント

  • 本が好き!運営担当

    突然のコメント、失礼いたします。
    書評コミュニティサイト「本が好き!」を運営しております、和氣と申します。

    今回レビューを拝読し、ぜひ本が好き!にも書評を投稿していただきたいと思いコメントいたしました。

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    不明な点などありましたらお気軽にご連絡ください。(info@honzuki.jp)

    どうぞよろしくお願いいたします。
    2016年07月26日 17:41
  • nakaji

    >本が好き!運営担当さん

    コメントありがとうございます。
    ぜひ検討させていただきたいと思います~
    2016年07月29日 12:04
  • 本が好き!運営担当

    ご返信いただき誠にありがとうございます。

    nakaji様のご登録をお待ちしております。

    今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
    2016年08月08日 14:38
  • nakaji

    >本が好き!運営担当さん

    再度の訪問ありがとうございます。
    さきほど登録させていただきました。
    どうぞよろしくお願いいたします!
    2016年08月09日 12:00

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